王様達のヴァイキング はおそらく今年秋頃ドラマ化するのでは?
今回は、週刊ビッグコミックスピリッツ連載の『王様達のヴァイキング』を取り上げます。
タイトルにドラマ化と書きましたが、全くもって私の憶測です。
希望的観測と言っても良いでしょう。ドラマ化されるとか、映画化されるとか他のメディアになる事は、メリット、デメリットあると思います。ドラマ化=良い漫画ではないという意見もその通りだと思います。(ドラマ化=制作側が何らかの理由で自信を持って会議にかけられる漫画であることは確かだと思います。)でも、多くの人、漫画を通常読まない人の目に触れる事は確かだと思いますし、この漫画は、そんな人の目に触れてほしいという気持ちも込めて「ドラマ化」みたいなタイトルにしました。
前置きが長くなりました。
まずは、漫画のあらすじから
簡単に言うと、高校中退でバイトも続かない。コミュニケーション能力がほぼゼロだけれどパソコンの才能がずば抜けている男、是枝と彼にお金も含めて全ての投資を行う、エンジェル投資家坂井が新しい世界を切り開いて行く物語です。
何が面白いか?
まず、挙げられるのが物語の流れです。情報の出し方や読者を説得させて引き込んで行く力を非常に持っている漫画です。
1話目で登場人物の大まかな説明を終わらせ、2話目で是枝の性格、3話目で坂井の覚悟や考え方を掘り下げています。この3話目で読者をぐっと引きつけます。一般的には聞き慣れない「エンジェル投資家」という仕事について旧体制の代表からのインタビュー(今回は新聞記者です)という形で語らせるやり方が非常に良いです。
この後は、是枝の仕事(=買い手を喜ばす事)を学ぶ話が続いて行きます。
是枝の内に秘めたモンスターと自分のやりたい事、人に買ってもらえる事、その喜びが試行錯誤の上、是枝の成長によって同一線上に並んで行く快感。
特に、2巻の最初のエピソードが最高に気持ちよいです。成長してぐいぐい前に進む是枝とそれに応える様に漢気あふれる仕事をする坂井。
ホントにこのエピソードだけでも映像化して欲しいです。
このエピソードでは、ある映画の楽曲が話のキーになっているのですが、おそらくこの漫画を読んでいる人の9割はこの映画の事を知っていると思うんですよ。なので、エピソードの最高潮の時に、この楽曲が頭の中で流れます。そうすると涙が出ます。
次のエピソードでは、(2巻中頃〜3巻中頃)、今後2人の敵となる人物が出てきます。このわかり易い敵の存在が、フィクション感を高めるなあと思いながらも是枝が成長して行く中で明確な壁が見えてくる事も物語をわかり易くするためには必要だったのかなと思いました。3巻の中頃からの坂井の過去を振り返るエピソードは、何故彼がここまでやるのか?という事をわかりやすく説明してくれていて更に坂井の事を好きになると思います。そして、3巻目まで読むと思う事は1つだけ、「次が読みたい」これだけでしょう。
この漫画を多くの人に知ってほしい理由の一つに、この漫画を通して「エンジェル投資家」の存在を多くの人に知ってい欲しいという事があります。最近、瀧本哲史さんの本を読んだ事もあり、日本にある投資の悪いイメージ(本の中で、瀧本さんは「投機」と「投資」の違いが日本では理解されていないと書かれていました)が払拭されたら良いなと、この漫画の坂井というキャラクターはそれが出来ると思います。
後、忘れてはなならないのが画です。
最高潮の時、決め台詞を言うとき顔の正面の画がたまらなくかっこ良いです。こちらが見られている(睨まれている)感覚になります。
この漫画を読んでいると、世の中は本当に変えられるんじゃないかと思ってしまいます。それぐらい、是枝が外と繋がる事で高揚していく感情が読者に伝播します。
今、お薦めの漫画ですので、是非読んでみてください。
<今年の目標:99>